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ギドン・クレーメルを聴いて

2012 年 11 月 05 日 月曜日

ギドン・クレーメル&クレメラータ・パルティカの演奏会を聴いて

弦楽器は特に千差万別の音色があり、楽器そのものが持っている音色と演奏者の鳴らし方の技術により、本当に多種多用な音色が生まれる楽器ですが、ギドン・クレーメル&クレメラータ・パルティカは、全員の音色が素晴らしく、同質の響きのアンサンブルになるようにギドン・クレーメルが奏者を選んでいることが良く解り、さらにクヮルテットになった時は絶品です。
サントリーホールの天井にまで響き音が立ち登って行くような、とても澄んだ艶のある音色で、pppからfffのデタッシェまで、非常にメリハリのあるアンサンブルでした。
ヴァインベルクはとても面白い作曲家で、交響曲第10番はとてもユニークな作品でした。
17人のヴァイオリンソリストの為に書かれた曲を改たに編曲したもので、17人がソリストで在ることを現すためと、それぞれの音が良く鳴るように、ヴァイオリンは全員椅子を排除し立って演奏します。その状態でのTuttiは鳥肌ものでした。

ベートーヴェンの弦楽四重奏 第14番を、このメンバー用にアレンジしたものがまた、素晴らしかった。以前、ギドン・クレーメルのビバルディの四季を聞いた時もそうでしたが、曲の解釈が群を抜いていて、その生き生きとしたベートーヴェンは、聞き手をグイグイ引っ張っていく一環性があり、聞きおわった後に、「これこそが音楽だ!」と改めて思わせるような演奏でした。
又、そのギドン・クレーメルの意図が団員メンバー全員によく伝わっていて、見事な対話になっていました。

私は、極上の芸術に接した時にだけ涙が止まらなくなる癖があり、ボロボロ T^T でした。