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EX-42, GX-1, GS-1, ELS-02X を弾き比べて

2018 年 01 月 30 日 火曜日

先日、EX-42, GX-1, GS-1, ELS-02X を弾き比べられる機会があり、堪能して参りました

エレクトーン界では知る人ぞ知る、歴代の代表機種(ステージモデル)を10台以上収集し保存していらっしゃるマニアの寺島 健司氏宅に呼ばれ、色々な機種を弾き倒して来ました。

始まりは、寺島さんが数年前に体調を崩された時期があり、長年愛情を込めて色々なところから収集し、メンテナンスを技術の益本さん、池ヶ谷さん、山田さん 他の方々に依頼し、ご自分も色々手を加えながら弾ける状態に保ち続けていらした楽器達を、「他にエレクトーンを本当に愛して保存して下さる方々に、少しずつ譲ってもいいかな?」と思われ始め、まずは特定の機種をお嫁入りさせる決心をなさったことが発端でいらしたそうです。

そして、それを機に、メンテナンスを長年に渡り手弁当で御尽力下さった技術の益本さん、池ヶ谷さん、(GS-1は山田さんに御尽力頂いたそうですが、ミニコンサートは益本さんと池ヶ谷さんのご都合が合い)に、それらの楽器の演奏を聞いて頂けないものかと、寺島さんの発案でした。

私もそのお話を伺い、大変お世話になった益本さんを始め技術の方々に感謝の意を込めてミニコンサートがしたいと、実現致しました。

池ヶ谷さん, 平部, 益本さん

EX-42 をメンテ中益本さん

EX42の奥は、EX-1

手前はELS-02X

GX-1 奥が寺島さん

それだけの楽器を保存しておくのですから、母屋の他にスペースと重量にも耐え得る別棟のスタジオがあり、所狭しと懐かしい楽器達が並んでいる場所へお邪魔し、ミニコンサートをやるなら、まずリハをしてからと二時間以上の時間をお願いして前乗りしました。

楽器の前に座ると不思議と、トーンレバーをどれどれ瞬時に変えていたか?何処の休符で三箇所くらいどのようにレジスト変えていたか? 等は身体が覚えていて、数回弾けば当時が蘇って来るものなのです。

EX-42では、懐かしい「引き出し」(本体の左寄り手前下より引き出してオルガン音色をフィートの組み合わせで変えられる、あの「引き出し」です) や「お豆腐」(手押しのパーカッションで、「ドンッ、シャン、ピン、ポンッ」等白い長方形のスイッチ) 等々、弾いていくごとに脳よりも先に手がそこへ動き、タイムスリップして行く感覚です。

GXは、エレクトーン誕生50周年の時にチューンがかなり狂っていて益本さんが寸前に何回も足を運び手を掛けて頂いても直り切らなかった楽器で、演奏していましたし、私の最も好きな楽器でしたから、未だに「ラプソディ・オン・GX」のトーンモジュールは大切に保管してあり、自分専用のトーンモジュールとねじ回し持参で(慣れて来るとトーンボードを使わずとも、いきなりトーンモジュールの小さいマイナスネジを0.5ミリ単位で回し、アタックやVCA, VCO等をリハ時に微調整して弾いていました) 弾かせて頂きました。

因みに、トーンモジュール保管箱は、当時、ヨックモックの缶や、小川軒のレーズンウィッチの箱などがサイズも丁度良く、プレイヤーの間では不可欠でした。

GS-1は、磁気テープが流石に自分のは劣化して使いものになりませんでしたが、なんと、寺島宅で弾いたレジストスイッチの中に、私が「懐歌」で作成した独自の音がいくつか残っており、感動しました。

新機種が出る度に、その楽器の為の作品を作曲し発表してきた歴史を感じながら選曲、それに携わって下さった多くの方々へも感謝しながら演奏した感慨深い一日でした。

私個人の意見ですが、今回改めて過去の機種も弾いてみた結果、常にポジティブな私としては、「過去の楽器は良かったが今の楽器の音はどうも、、」と懐かしがってばかりいるのも好きではありませんし、そうかと言って「昔の楽器は古いサウンドで今は弾けない」と言うのも嫌いで、それぞれに個性のある楽器はそれぞれに素晴らしく、その刻で輝いた楽器達であり、比べようもなく、弾き手が個性を熟知し、その時代に合ったサウンドで響かせてあげられれば、それで楽器も本望だと思います。

以下がミニコンサートのプログラムです。

『 EX-42 さよならコンサート 』2018/1/27

〜 益本さん、池ヶ谷さんに感謝を込めて❗〜

演奏 : 平部 やよい 会場 : 寺島 邸スタジオ

【 EX-42 】1970

① Wave / アントニオ カルロス ジョビン

( 1971 インターナショナルエレクトーンコンクール ジュニア部門 第1位受賞曲 )

② ロンドンデリー エアー / イギリス民謡 / 編曲:芥川真澄

【 GX-1 】1975

③ ラプソディー・オン・GX / 平部やよい

( 1975 インターナショナルエレクトーンコンクール ’75

グランプリ大会 シニア部門 グランプリ受賞曲 )

【 GS-1 】1981

④ 「懐歌 〜アルトサックスとGS-1のためのシンフォニー 〜 」

( 1981 第1回インターナショナルオリジナルコンサート

特別優秀賞、及び オーディエンス賞 受賞曲 )より、一部演奏。

【 ELS-02X 】2014

⑤ SantaAna Freeway / 平部やよい

⑥ Satisfaction / 平部やよい

⑦ ダッタン人の踊り / ボロディン